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毎日が記念日

「くさい」人間・「役に立つ」機関車 『マリアビートル』

2月は何しよっかなー?と思っていたところでお友達に誘ってもらって観てきました。テニミュを卒業した後の小沼さんと碕さん!自分にとっては初めてのスペースゼロでした*1

 

余談ですが、銀河劇場の初めても、このお友達の縁で行った舞台だったんです。それでその後に、『メサイア』でお世話になったのですが…………と、いうことは、この後荒木さんもスペースゼロでお仕事ありますか!?

 

チケットの日付の2日前にお誘いいただいて、その日のうちに原作本を買い、読み切った上での観劇でした。伊坂幸太郎さんのファンではなかったので、前作(?)の『グラスホッパー』は未読です

蜜柑と檸檬贔屓のお友達の縁だったので、原作も、蜜柑と檸檬に感情移入しがちでした。そのうえで、「七尾、好きになれない……」と思っていました。あと王子くんと木村雄一の針のシーンが無理すぎて飛ばしました。痛そうすぎる

 

 

舞台装置

奥から手前に下がるような傾斜、緑の床に白線で3席-2席の客車や、荷物置き場・お手洗いが引かれていました。緑に白……あとは、ネットとベンチ……そんな気分になりました

下手に電子ピアノ

舞台の奥行きの真ん中あたりに濃いブルーの幕

途中で気がつきましたが、舞台のへりに黒いでっぱりがありました

一番奥に新幹線の電光掲示

 

内容

忙しい人のための『マリアビートル』

木村雄一と王子・七尾の過去編はバッサリカット

結論:「スズメバチ」っていう暗殺屋さんが復活の狼煙を上げるために、裏社会のドンを殺したよ。その他もろもろの暗殺屋さんも何人か死んじゃったよ

 

感想

という、演出・元吉さんのツイートを踏まえて、「舞台化でよかったところ」「舞台化で好きになれなかったところ」の2点でまとめます

よかったところ

・木村雄一に対抗するためにスタンガンを押し当てる王子が、そのまま客席に向かって放電、舞台は暗転。これで、最後列のお客さんにも、王子がスタンガンを持っていたことをセリフ無しで説明できた

・舞台に傾斜がついていて、ヘリにでっぱりがあったが、これはラストシーンで段ボールから零れる檸檬Zたちを客席に落とさないための工夫だった*2

・座席を再現するわけにもいかないので、各人が自分の椅子をもって客車を表現していたが、椅子がひとりひとり違っていて良かった。王子は豪華で、蜜柑と檸檬は背もたれに1本ずつ蜜柑色と檸檬色の骨が入っていた。木村は学校の図工室にあるような背もたれがない丸い木製の椅子。トンと椅子を置く感じが、小説の印鑑をポンと押す感じがしてよかった

・音響効果!

……だそうです

・デッキに移動するときに、絶対立ち止まって扉が開くのを待つ細かさが好きだった。別の場所でセリフとスポットライトでも、みんな立ち止まる。自分は新幹線経験は豊富じゃないけど、特急でもそんな感じだから、説得力がマシマシだった

・小説では、蜜柑が「今、(檸檬の)死体を探ったら、あいつのジャケットからこれ(本)が出てきた」と言って表現されていた部分が、舞台では、檸檬が蜜柑のジャケットに本(とトーマスくんのシール)を入れていて、鳥肌が立った。蜜柑の尻ポケットにくじ引き券を入れて、蜜柑の両肩をポンと叩いて去る檸檬が切なすぎて涙腺がブチ切れた

木村茂が客席に背中を向けて、王子に何か言うシーン。マイクがないから、演者が「客席に背中を向ける」って、表情が読めないっていう視覚的な効果だけじゃなくて、声が小さく聞こえるっていう音の味付けにもなるんだなぁと思った

 

小説のほうがよかったところ

・マリアちゃんは『べるぜバブ』のヒルダさんのイメージで読んでいたので、なんか「あ、舞台に立つ女優さんだな」ってギャップがあった。声をキンキン張り上げる感じ

・七尾が狼の首を折るとき、手を離してしまった

・蜜柑と七尾の追いかけっこ。小説は蜜柑視点が先に書かれていて、空になったガラスケースとか、ヅラの男だけポンと出てくるハラハラ感がよかった。舞台だと、時系列に沿って、七尾がやらかしたことっていうネタバレがあったから、ハラハラ感は出なかった

 

雑感

背が高くてシュッとした男が好き!!もう碕さんも小沼さんも足が長いし細いし、アクション*3もかっこいいし、ほんとに背の高い男性!はい好き!ドーン!ってテンションあがりました

・蜜柑がボトムの裾を2センチぐらい折り返して、しかも紐靴っていうところに、性格が出てたなぁ……

・小沼さんは2nd全国立海の「跡部のコスプレしてた人」という印象しかなかったので、上演中もアフタートークのときも、すごくきちんとした(?)、素敵な俳優さんだなぁと認識を改めました

思い出したらまた追記します

 

いや~~!とにかく誘ってもらって本当に良かった!いいものを観させてもらいました!劇場アンケートもそんなに沢山は書きませんでしたが、大変良かったにマルをつけました!お疲れさまでした!

作中、悪いことを考えてる人間を「くさい」と表現する木村茂や、「役に立つ機関車になりたい」と思う檸檬といった、「殺し屋さん」とは関係ないけど、生きる上で考えさせられるようなキャラクターが出てきます

七尾なんかは、「くさい」人間の匂いに全く気づかないだろうし、大抵の人は「くさい」人間に気づいてもその人を排除できなくて苦しくなるんじゃないかなぁ。自分は昔、この「くさい」人間を見誤ってしまったことがあって、後悔しています。本当はくさくない人を「くさい」って判断してしまったんです

「役に立つ」機関車、なれるといいなぁ〜〜でも努力するのめんどくさいな〜〜っていうダメ人間なので、それはそれで刺さりました

 

近況

平昌五輪フィギュアスケート男子を観ました。羽生選手・宇野選手・田中選手、お疲れさまでした。そして、パトリックチャン選手も……

自分にとってフィギュアスケート(中継)は、冬の風物詩でした。母が強化選手だったこともあり、気付いたらテレビで観ていました。茶の間のセミプロ解説者は、毎年手帳に、大会ごとの好きな選手の得点をメモしていました

スケートのうまい母から産まれましたが、自分は氷上でまともに立つことすらできません。かつて地元に1か所だけあったスケートリンクへ、同級生と遊びに行った翌日の部活動で、顧問からドン引きされるぐらい青タンを作るほどの運動音痴です。ジャンプの種類もまともに分かりません。母ごめん

 

SPは羽生選手だけ、中継で見ました

FPは仕事のお昼休憩の時間を見計らって、最終グループ全員の演技を見ました。羽生選手も宇野選手も、終わる直前にものすごく素敵な顔をしていて、泣くかと思いました。人前だったので我慢しましたけど。それに、傍で見守るコーチたちが、彼らのジャンプの成功を喜び、彼らを鼓舞するために声を投げ、腕を挙げる姿も印象的でした。20歳超えて急激に涙もろくなりました

パトリックチャン選手のフリーを見ながら、「あ、この人引退するんだ」ってピンと来て、すごく悲しくなりました。情弱だったので、仕事が終わるまで知らなかったんです。本当に引退を宣言していたなんて。チャン選手は、ずーっと強いんです。ミスもしない。高橋大輔さんや織田信成さん、日本代表選手に勝ってほしい!とテレビの前で思っていても、いつもチャン選手がきっちり決めてきました。シンプルな衣裳が、滑らかなスケートを際立たせていました。すごくいい笑顔なんですよね。混じりけが無くって、イヤミでもなくって、「魅力的な笑顔」をそのまま具現化したようなキラキラの瞳なんです。ただただ、悲しい。でも、競技選手を引退しても、スケートを辞めるというわけではないでしょうし、きっとまたどこかで

number.bunshun.jp

 

今回金メダルを獲得した羽生選手が、「生きてきてよかった」と言葉を漏らしていました。「東北出身」とカテゴライズされ、望むと望まざるとに関わらず、多くの人の「命」を背負わされたんだろうなというものを感じました。明らかにテレビカメラを意識した表情づくり、羽生結弦選手が「羽生結弦役」を懸命に演じようとしている姿が心苦しかったです

「オリンピックで羽生選手がいたから楽になった」と漏らす宇野選手からも、客席・メディアやお茶の間からのプレッシャーの強さを感じました。平気そうな顔していますが、何も感じないわけじゃないんですよね……でも期待しちゃうんだ……ごめんなさい

 

オリンピックに出るっていうのがすごいことです。日本の代表、日本でトップって、そんなの、普通に生きてたら中々できません。他の国の代表選手も、その国のトップです。沢山、選手は出場していますが、少数精鋭の戦いで……。ケガとかプレッシャーとか色々あったと思いますが、茶の間でだらだらしながら見ていた自分のような堕落人間も、めっちゃ感動しました。きっと選手のみなさんは「感動させよう」じゃなくって、自分のベストを尽くそう!金メダルを獲ろう!と思って頑張っていたと思います。話がまとまらない。とにかくすごかった。お疲れさまでした

 

浅田真央選手のソチ五輪でのFPがわたしの中では一番です。3回転を飛ぶ構成は変えずに、最後の3回転、ループジャンプを成功した時のヨシッ!ってところと、スケートが本当に好きなんだなって伝わるステップでボロ泣きしました。最後に演技が終わって、堰を切ったように泣き出した浅田選手に続くように号泣しました。今見てもこの3箇所は泣けるし、音楽聴くだけで泣きます。この先、たぶんこのソチの浅田選手のFP以上に自分の記憶に残る演技はないんだろうなって思います

 

ところで『ギャングアワー』の稽古いつ始まるんですか?もう始まってますか?

*1:5年ほど前に、当時応援していた俳優さんが立ったので行こうと思えば行けたのですが、行きませんでした。ほぼ茶の間~降りかけの状態でしたし……

*2:でも落ちた

*3:殺し屋さんなので